Dying, Bleeding,Screaming - 7/10

 輪姦は延々と続いた。
 口腔と肛門には常に男根が挿入され、内臓には大量の精液が流し込まれていた。
 喉奥にねっとりとした塊を叩きつけられ咽び、尻肉を掴まれて勢い良く腰を打ち付けられる。
 抉られ、擦られ、抜かれたと思えば、すぐに次が捻じ込まれて、終わることがない。
 白濁は槐の体内だけでなく、顔や喉や尻や太腿や全身を穢して、汚辱にまみれさせた。
 そのなかには、槐自身のものも混じっていた。
 最初に射精した時、男たちに嘲笑と卑猥な侮蔑を浴びせかけられたのすら遠い昔に感じる。
 どれだけ時間が経ったのか、何人に何度犯されたのか。
 今自分の身体がどうなっているのか、手足がどこにあるのか。入っている男根のかたちさえ、分からなくなっていた。
 気を失っても開放されず、気が付けば顔を掴まれてぐいぐいと喉奥を犯されていた。
 当然のように、押し広げられた下肢には男が割り込んで、快感を引き出そうと激しく腰を振っている。
 槐はただの穴だった。
 このまま死ぬまで犯され続けるのかも知れない、と麻痺した頭でぼんやりと感じる。
 内側からメチャメチャに前立腺を弄られ続けて、潤んだ脳髄はこれが快感なのかどうかも感知できなくなっていた。
 激しい摩擦で痛めつけられた柔らかい粘膜は、火傷を負った時のようなひりつく激痛の脈動。
 無理矢理体位を変えられるたびに、身体を捻じ曲げられ、関節と筋肉が軋み、それだけがかろうじて肉体の存在を槐に教える。
 やがては痛みすらも遠くなり、頭の中が虚無に塗り潰されて、ただ犯されるだけのモノになってゆく。

 目を覚ますと、狭い自室に寝かされていた。
 全身が苦痛の網に囚われたように痛んだ。一番酷いのは尻の痛みだったが、そこがどうなっているのかは自分には見えない。
 身体のあちこちに包帯が巻かれ、包帯に覆われていない部分の皮膚は、色とりどりの痣が奇妙な模様のパズルを作っていた。
 喉奥も顎も口の中も痛くて、まともに声も出なくて、切れた唇から擦れた呼吸音が洩れるばかり。
 ふっと涙がこみ上げてきて、あとからあとから溢れ出て止まらなくなった。涙腺が壊れてしまったように、長い間泣き続けた。

 目が真っ赤に腫れて、あまりに泣き止まないので、医師に注射をされた。
 それで意識が朦朧としている間に、肛門に薬剤を塗り、包帯を替えていった。
 何日かのうちに涙は止まった。
 医師は自殺を危惧したようだったが、槐は生きた。
 診察の際の受け答えも正常に見えたので、数種の薬を飲ませ、身体の治療だけを施した。

 足腰の立たない間、下の世話は担当の世話係がした。彼は汚物を片付けるたびに嫌味を言うのを忘れなかった。
 休ませるようにと指示が出ていたのに、医師の目を掠めて、槐に自分のペニスを咥えさせた。感謝の印を見せろとのがそいつの言い分だった。
 自分の顔の上に跨った男が、必死に腰を振って痛んだ喉から快感を得ようとするのを、槐は何のいろも浮かばぬ目で眺めていた。
 それは粉々に壊れたものを、どうにか繋ぎ合わせて、元の形を保っているようでもあった。