甘い生活 - 3/4

 どれだけの時間が経ったのか。
 対の美貌が往還し、位置を入れ替え、体位を変え、何度も何度も、繰り返し繰り返し。
 最初はたった一本の指を挿れられるのさえ酷い異物感を感じた後孔も、今では双子の剛直に突かれて快感を生み出す性器に変えられてしまった。
 手足の拘束具はいつの間にか外されていた。思うように動かぬ重怠い四肢を、双子は人形を繰るように折り曲げ、伸ばし、捻じ曲げた。

「も、ひゃめれぇ……ゆりゅ、ひへぇ……っ」
 飲み込めなくなった涎を口の端から垂らしながら、冬馬は必死に哀願した。
 弱々しくもがく様は、さながら甘い蜜の沼に溺れる蟻。
 度を過ぎた快感は苦痛に変わり、途切れなく味わわされる絶頂は、拷問に等しくなっていた。

「何を言っているのか分からないよ。またおねだりかい?」
 笑い含んだ甘い蜜の声が耳に垂らされて。ぐっと突き込まれた。
「うぐぅぅ! んぅううっううぅぅっ!!」
 奇声を上げ、若木のような肉体が硬直する。大きく反り返る背はだが、しっかりと双子に絡め取られた。

「少し慣れて、飽きてきちゃったのかも知れないね。どうだろう、そろそろ冬馬にも頑張ってもらうのは?」
 蒼司が弱々しく痙攣する身体を抱き取って、挿入したまま自分に凭れかけさせた。
「ん。そうだね。兄弟なのだものね。それに」
起き上がった紅司は腕を回し、間に冬馬を挟んで片割れと向き合う。
「やっぱり蒼司と一緒がいいな」
 艶冶に囁く唇を、分身たる兄のそれに重ね。冬馬の頭上で、互いに貪りあった。

「さ、冬馬、しっかり受け止めるんだよ」
 がっくりと仰のいて喘ぐ義弟に優しく言い聞かせ、蒼司は己が入ったままの秘穴を指先で強引に左右に押し拡げる。
 紅司は己の昂ぶりを握って、歪に開花させられた秘花に先端をひたと押し当て。僅かな隙間に割り込ませ、隘路に無理矢理に捩じ込んでいく。
 途端上がる魂消る絶叫。喉を開いて声にならない悲鳴を上げて、冬馬の身体が強張り、小刻みに震えた。

 いくら丁寧に解され、散々に犯されて慣れてきたとは言え、今日まではただの排泄器官だったそこを一度に二人に貫かれるのは。
 甘やかな煉獄を全て塗り潰す激痛。眼裏が鮮赤に染まる。

「ああ――いいね。凄い……感じるよ、蒼司のかたち。中で当たって――」
 艶やかに綻んだ紅司の唇から、陶然とした呟きが洩れた。
「これで皆ひとつになったね――一緒にいこう」
 愉楽に目を細め、蒼司は止めていた動きを再開する。続いて紅司も。
 全身を炎が貫いた。限界以上に拡げられた肉筒の内部をゴリゴリと刮げられ、充血しきった襞も巻き込んで、内臓全部を容赦なく抉られる。殴りつけられる。
 冬馬は腹に挟まれて擦れる陰茎を、もう何も出なくなったのに、それでもひくつかせながら、白目を向いて痙攣し――やがて意識を失った。