箱の中 - 3/3

 ――ハッと男は目を見開いた。
 視界はうす暗く、何も見えない。両眼が目隠しで覆われているのだと、男は暫くして思い出した。
 顔の下半分もマスクで覆われ、顎を開くことすらままならない。
 自分の呼吸音がやけに耳につく。荒い呼吸はなかなか静まってくれなかった。
 頬が弾力のある床に触れる。身体を動かそうとして、分厚い拘束着の中に囚われている肉体を意識した。

 膚にありありと残る悍ましい感触を思い出し、男は身震いする……
 アレは夢だったのだろうか?……それともこちらこそが……

 

– end –