――ハッと男は目を見開いた。
視界はうす暗く、何も見えない。両眼が目隠しで覆われているのだと、男は暫くして思い出した。
顔の下半分もマスクで覆われ、顎を開くことすらままならない。
自分の呼吸音がやけに耳につく。荒い呼吸はなかなか静まってくれなかった。
頬が弾力のある床に触れる。身体を動かそうとして、分厚い拘束着の中に囚われている肉体を意識した。
膚にありありと残る悍ましい感触を思い出し、男は身震いする……
アレは夢だったのだろうか?……それともこちらこそが……
– end –