裸の季節 - 1/2

 容赦なく太陽の照りつける夏。
 アスファルトに陽炎がゆらめく都心部と違い、郊外のこのあたりにはまだまだ自然が残っていて、涼し気な緑がしたたる。
 夏ともなれば、あっちこっちの木立から、蝉の声がわんわんと耳を聾さんばかりに湧き立つ。
 近頃では珍しくなった虫取りも、ここらへんではまだ子供たちの間で廃れていない。
 焼け焦げそうな午後の日差しを物ともせずに、手に手に虫取り網や虫籠を抱えて、自然公園となった里山に、連れ立って駆けて行く。

 そんな子供たちの甲高い嬌声が、閉めきった窓を筒抜けて聞こえてくる、アパートの一室。
 クーラーがロクにきいていない狭い部屋の中で、三人の人間が汗みずくになりながら身を寄せ合っていた。
 うち、この部屋の主である若い男は、まだ子どもと言ってよい年頃の少年を、足の間に座らせている。
 暑さにうだったのか、少年は華奢な体躯を男に預け、舌を突き出して荒い息をしていた。
 その向かいに、いささか落ち着かない様子で座っているのが、男の友人の、茶髪の青年だった。

「乳首、気持ち良い?コリコリしてる」
 桜色の突起を、親指と人差指で挟んで転がしていた男が尋ねる。
 平たい胸に浮いた小さな粒を、指の腹で揉み絞る様は執拗と言えるほどで。
 頬を淡紅色に染めたいたいけな少年は、時折ビクビクと体を震わせ、目に涙を溜めて喘ぐ。
 アニメキャラを描いた少年のTシャツは、鎖骨の辺りまで捲り上げられ、象牙のように白い膚が露わになっていた。

「ダイジョブなの?これ」
 微苦笑に若干の懸念を滲ませ、タンクトップに短パン姿の男の友人が尋ねた。
 それでも止めはしないあたり、男とさして変わらない心根の持ち主なのだろう。
 適当にそこらにあったノベリティグッズのうちわで扇ぐも、額にはじっとり汗が浮かんでいる。

「へーきへーき。言いつけたりしないし。かいはえっち大好きだもんなあ?」
 男は嘯き、丁寧に緩急をつけて乳首を捏ね回す。
 「槐」と呼ばれた少年は、そんなやり取りもロクに頭に入っていないのか、息を弾ませて、熱にうかされたようなとろんとした視線を彷徨わせるばかり。
 時折、すんなりと伸びた細い足をもどかしげにもじもじと擦り合わせる。
 膝を立てている所為で、向かいに座った友人には、短いズボンの裾から内側が丸見えだ。
 白い下着どころか、足の付け根にある、幼い性器まで覗いている。

 茶髪の青年はゴクリと息を呑み、膝でにじり寄る。
 ズボンのボタンを外して、下着ごと引き下ろすと、勃起した小さな性器が、挨拶するようにぷるんと顔を出した。
「へえ、可愛くてもやっぱ男だな。ちっちゃいのついてる」
 殊更に明るい口調で茶化して、幼い勃起を指で弾く。
 少年が、あ、と声を上げ、ひくりと震えた。

「可愛がってやれば? それとももう穴広げちゃう?」
「どうしよっかな……」
 思案するふりで、ソックスに包まれた片足を捉えて持ち上げ、奥を覗き込む。
 胡桃のような陰嚢の後方、少し離れて、綺麗に窄んだアヌスが鎮座していた。
 こんなところに男根が入ると思えないようなおちょぼ口で、淡いピンク色に輝いている。
「すっげえ。穴、ヒクヒクしてる」 
 面白がって蠢く蕾を指でつつくと、先端を飲み込み、イソギンチャクめいて、きゅっと固く閉じる。少し濡れているのは腸液だろうか。
 わー、喰った、と面白がって、ふにふにと襞を押す。
 殊に優しく縁をなぞると、すっかり閉じなくなった少年の唇から、譫言じみた嬌声が上がる。
 そこに、乳首を強く捻られ、前のめりに縮こまり、華奢な肢体が痙攣した。
「はぁん……あぁああ……」
「挿んのこれ?」
「もちろん。経験済みだもん。挿れられんの大好きよ?」
 男はニカリと笑って太鼓判を押した。
 よし、と友人がズボンを下着ごと引っぺがす。男の方はTシャツを上から脱がし、座卓の上のものを床に落として、連携プレイで少年をうつ伏せに乗せた。

「これ口に入れて。そしたら後ろに挿れてあげる」
 男はハーフパンツから怒張したペニスを取り出し、少年の口元に突きつけた。
 薔薇色に上気した顔が男を見上げる。濡れた瞳が、赤黒く充血して筋の浮いた大人の男のものを暫し見つめた後、諦めたように小さな唇で咥えた。
 それを良いことに、男は黒絹のような髪の間に指を差し込んで、頭を押さえると、ゆっくりと腰を動かし始めた。口腔いっぱいに含ませ、喉奥めがけて突く。
 飲み込めない唾を濡れた唇からからだらだらと溢れさせ、少年は苦痛を堪えるかのように目を閉じた。
「んっ、ぅぶっ、ぐふぅう……っ」

 その間に、男の友人は腿を掴んで下肢を開き、露わになったアヌスに乱暴にローションを振りかける。
 まずは一本、と人差し指を突っ込み、にちゃにちゃと掻き回した。
 少年の喘ぎが、覿面に甲高くなった。
 肉筒は男の指をすんなり飲み込んだばかりか、もっと、とせがむように収縮する。これには、茶髪の青年も目を丸くした。

「マジでショタビッチ?マジ、本物のケツマンじゃん、これ」
「ゆったじゃーん、槐はえっち大好きって。な、かーい?」
 イラマチオの手を休めず、男は満面の笑みでほざく。じゅぷじゅぷと派手な水音を立てて、少年の口腔を犯す。
 そんな苦痛を伴う行為ですら、一度火を点けられた少年の情欲を鎮める結果にはならないのか、大きく開かされた脚の間で、鞘を被ったままの幼い若茎が、頭を振り立てていた。
 その様を見て、遠慮をかなぐり捨てた青年が、指を二本に増やして、本格的に肉筒を解しにかかる。
 ピストンを繰り返して、くぐもった嬌声を上げさせたところで、待ちきれずに己の分身にローションをまぶし、八分ほど綻んだ桜色のアヌスにめり込ませた。
 小鹿を思わせる細い四肢が、早急な挿入にぐっと強張る。

「うわ、きっつぅ……」
 ローションで潤った肉筒は、滑りこそ良かったが、酷く狭くて、肉棒をみっしりと包み込んで離さない。
 それでいて完全に拒むでもなく、押せば征服者の前におずおずと開き、引けば名残惜しげに襞が絡みつくのは、何故か。
 蹂躙し、征服するための尻というものがあるとしたら、まさにこれだった。
 たちまち幼い肉筒のもたらす愉悦の虜となった青年は、細腰を両手でがっしりと掴んで高く上げさせ、躊躇なく深奥を抉りまくった。

「中出しOK?」
「もち、おっけー」
 喉奥の収縮を愉しみながら、男が答える。
 淫靡な水音の二重奏が、少年の身体で奏でられ、狭い部屋の中で、座卓の足の軋む音や、か細い啼声と絡み合った。
「あ、俺出そう」
「俺も」
 自分たちの快楽しか頭にない二人の男は、放出の瞬間を目指し、小さなからだに己の肉体をがつがつとぶつけた。
 肉棒で塞がれた唇から、悲鳴とも嬌声ともつかぬ、くぐもった鼻声があがる。
 まず茶髪の青年のほうが先に達し、完全に放出し終わるまで深く突いた後、泡立つ穴から男根を引き抜いた。
 少し遅れて男が、放ったものを全部飲み込ませてから、ようやく開放した。