それから――五日だ。
滑らかに筋肉の隆起する胸と腹を斑に染める白い汚濁は、王だけでなく懐燕自身のものも混じっている。
五日間のうちに犯されて味わった絶頂は数えきれぬほど。
後孔を蹂躙されて射精した回数も、百や二百ではきかぬ。
能う限りの体位で犯かし抜かれて、物欲しげにパクパクと開いた鈴口から、白い蜜を絶え間なくだらだらと漏らし、発情した雌の顔で身も世もなく悶え狂った。
それすら過ぎた今では、嬌声も上がらず、虚ろな顔で揺さぶられ続けるだけだ。
いかな鬼と言えど、数日に渡って休みなく連続絶頂を味わわされた消耗は激しい。
懐燕の気力も体力も尽きかけていた。
もはや鬼族の回復力も追いつかず、精も尽きたというに、媚薬の効果か、股間の陽物だけが依然赤黒く筋を浮き立たせて勃起しているのが痛々しい。
「符咒師よ、もう疲れたか?」
揶揄を含んだ王の声が雷鳴の如く轟く。
驚いたことに、王に疲労の気配は全くなかった。
犯す側とて相応の体力を使ったであろうに、背後から懐燕を突き上げる律動に遅滞はなく、まだまだ余力を残しているように見える。
「獣魔の精力は底なし」とはよく言われるが、それでも恐るべき体力と言わねばなるまい。
「強健を誇る鬼族も、存外だらしのないものだな。
どれだけ突いても穴が緩まぬのはいいが、惚けてしまっては物足りん。
締りの良くなるように、ピリッとさせてやろう」
王は奴婢の小魔を手招く。
蟇蛙を潰したような醜い小魔は、平身低頭して盆を捧げ持ち、王の足元にいざり寄った。
盆から摘み取ったのは、一本の金属かねの棒。先端が滑らかな箸とも金串とも見えるそれは、先端から中程まで、歪な玉を幾つも連ねたような形状をしていた。
王は分厚い手で懐燕の陰茎を鷲掴み、うっすら開いた鈴口に棒を突き刺した。
消耗しきった鬼の、何処にまだこんな力が残っていたのかという程の絶叫を喉から迸らせて、全身を硬直させた。
筋肉がぐっと膨張し、手足を戒める縄と鉄棒がギシギシと軋む。
王は全く意に介さず、獣面に歪んだ笑みさえ浮かべて、抵抗を示す細い路をゆっくりと押し開き、先端が根本に達するまで捩じ込んだ。
目尻から涙が流れ、汚れた頬に新たな筋をつける。
「動けば中が裂けて使い物にならなくなるぞ」
くつくつと喉を鳴らすは、そうなっても一向に構わないと伝えるように。
掌は懐燕の陰茎を握り締めて微動だにしない。
棒を軽く抜き差し、尿道の内側を擦ると、符呪師の身体はガクガクと面白いように跳ねた。鈴が胸の上で出鱈目に跳ね、耳障りな音を立てる。
「気に入ったか?肛内なかがうねって、また余の子種を搾り取ろうとしておるわ」
王は乱暴に尿道の最奥を捏ね回しながら、いっそう激しく突き上げた。
棒の隙間から、血赤の混じった淫水が垂れる。
後孔と玉茎、二つながら串刺しにされた鬼は白目を剥き、唇の端から泡を零しながら、声の無い叫びを上げ続けた。
魔辱の終わりはあっけなかった。
腰骨の内側から食い破られるような激痛と快美の果てに、腸が灼けるかと思うほど熱い精液が最奥で迸り、懐燕の意識もまた灼き切れた。
王の射精はたっぷり数分は続き、既に淫液で満たされた腹を限界以上に膨らませた。
最後に胃の腑を押し上げるように、何度も繰り返して肉杭を突き立てた後、ぐったりと力を失った懐燕の身体を膝から下ろし、無造作に床に投げ落とした。
石床に転がされた汗みずくのからだがビクビクとわなないた。
浅ましく開いた下肢はおびただしい汚濁に浸され、凌辱の痕跡を恥ずかしげもなく曝け出している。
無残に開花させられた赤い花弁は、ぽってりと腫れ上がって閉じず、たっぷりと白をまぶされた内部の赤い果肉さえ覗ける。
喘ぐように肉襞をひくつかせ、濁った水音とともに白濁をひり出す様は酷く淫猥で、己の逸物にて穴を塞ぎ、穢し抜きたい雄の欲望を刺激せずにはおかぬ。
居並ぶ獣魔の廷臣の多くが、涎を垂らして凝視した。
王はと言えば、未だ茎立つものを下腹の剛毛から覗かせ、玉座から薔薇色に色づいた肉体を見下ろしていた。
符呪を操る美麗の鬼は、どれほど犯しても飽かぬ媚肉ではあったが、それに溺れて未練を断ち切れぬほど、獣魔の王は愚かではなかった。
「枷は出来上がっておるな」
錆びた声を掛けると、はっ、と呪師が、背後に鍛冶師を従えて進み出る。
鍛冶師は、二組の枷と槌を持参していた。
呪鉄の鈍い輝き帯びた枷は、幾重にも魔紋の刻まれた二つの幅広の環が、太い鎖で繋がる構造となっている。鎖は短く、四肢の動きを著しく制限するであろうことは間違いない。
鍛冶師は、倒れ伏したままの懐燕の右手首と右足首、そして左手首と左足首にそれぞれ枷を嵌めると、開閉部分を小槌で叩いて環を閉じた。
その後を呪師が替わり、咒でもって開閉部を環に一体化させ完全に継ぎ目を消した。更に、肌と枷の間に殆ど隙間のないように、環を縮めてしまった。
これで、この枷を物理的な手段で外すことは非常に困難になった。
継ぎ目が無いからそこから外すことは出来ないし、隙間なく嵌った環では、熱で焼き切ろうにも虜囚の肌を焼く羽目になろう。後は、枷ごと手足を切り落とすか。
魔力を喪い、弱体化の咒を刺青された懐燕が、自力で外すことはまず叶うまい。
仕上がりに満足した王は大きく頷き、二人を下がらせた。
伸び上がった巨躯が天井につくと錯覚させるほどの偉容を見せて玉座から立ち上がり、傍近くに控える側近たちに錆びた声を投げかけた。
「城内の最も卑しい奴婢に至るまで、全員に犯させろ。
波旬めに、己の念友がどのように饗されたか、ひと目で分かるようにしてやれ」
王の言葉は、雷鳴の如くどよもして広間に響き渡った。
王はそのまま玉座を離れ、城の奥にある私室へと戻っていった。横たわる懐燕を顧みることなく。
片時も離れず付き従う腹心の呪師と、二名の衛士のみがその後に従った。
王の姿が完全に見えなくなったのを合図に、獣魔たちが群がった。
意識の無い懐燕の肉体を押し開き、そぼ濡れて開ききった菊蕾に男根が突き込まれる。
口腔にもいきり立った肉棒が捩じ込まれ、歪な亀頭が喉奥をえづくほど擦り立てる。
乳首も暴虐を免れ得ず、垂れ下がる鈴の錘を強く引かれ、貫いた孔から千切れそうになるほど引っ張られた。
激痛に短い失神から目覚めた懐燕は、重い手足を上げて僅かな抵抗を示したが、周囲から伸びた複数の手によってすぐさま封じられた。
割り開かれた下肢の間には、棒が刺さったままの陰茎が、それでもまだ固くそそり立って揺れていた。
生贄の肉体と魂を破壊する魔辱の供犠が再開された。
地獄はこれからが本番だった。
– end –