創造の女神の祝福を受けた泰華は、種々雑多な仙族魔族の住まう地。
空を舞う飛天、雷嵐の支配者・天魔。
獣面の獣魔、獣に変化する獣人族、獣の頭部を持つ獣頭人。
鬼や天狐といった強力な種族もいれば、名すら無い小さな魔もいる。
多くはそれぞれの種族ごとに分かれて住むが、複数の種族から成る国家もある。
それまで獣魔は、主要な有力魔族からは剛力と繁殖力だけが取柄の劣等種族と見做されていたが、互いに争っていた諸部族が一人の王のもとに統一されると、状況は一変した。
食糧や繁殖用の雌――獣魔は基本的に雄しか存在しない――を求めての散発的な略奪が、組織だった侵略に変わり、辺境の村々が次々にその標的となった。
人々は奴隷として徴用され、抵抗した者は鏖殺された。
王に率いられた獣魔の軍団は、近隣の弱小魔族をも支配下に収め、じわじわと勢力圏を拡げていった。
天魔の長の長子、波旬は掟に背いて鬼族の符咒師・懐燕と念友の契りを交わしたことから追放の身となっていたが、家族が獣魔たちに虐殺されたと知り、復讐を誓った。
各地で獣魔の部隊を撃破した波旬は、己の力を過信して獣魔の本拠地である山脈に単身乗り込み、王が呼び寄せた応龍に挑んで大敗を喫してしまう。
一方、計略に嵌まり、波旬と分断された懐燕は、王その人と遭遇し死闘を繰り広げるが、あと一歩で力及ばず、敗北した。
力の源である角を折られ、昏睡状態に陥った懐燕を、王はその場では殺さずに捕虜として連れ帰ることを命じた。
石の高い天井に反響して、ジュボジュボと酷く耳障りな水音が辺りに撒き散らされる。
それに入り混じる熱い喘ぎが、聞く者の耳を淫し、その源へと注意を向けさせずにはおかぬ。
天然の洞窟に手を加えて作られた大広間は、音がよく響く。
獣魔の王に仕える廷臣たちは、広い広間に三々五々に散って、飲食に興じたり、戦利品の奴隷を犯したりしていたが、その目はどうしても奥へと惹きつけられた。
広間の奥には、粗削りの宝玉と金属とで飾られた、石造りの玉座が設えてある。
そこに座すは、獣魔の王。
名を秘し、ただ「王」とのみ呼ばれるその者は、並外れた巨躯を持ち、連なる筋肉は山脈。
青黒い獣面は獣魔にしては整っていて、一種奇妙な美しさを感じさせる。
大きく張り出した眉上弓の下の、眼窩に嵌った黄金色の瞳は、同族たちが持ち得なかった鋭い知性の輝きを宿していた。
だが、今その青光りする肉体には、異なる白の色が絡んでいた。
均整のとれた細身の身体は、男らしくなだらかに隆起する筋肉で鎧われていたが、巨漢の王と比較すればまるで乙女のように感じるほど。
淡い紅に色づいた滑らかな肌は、暗闇の中でも白く目を射た。
懐燕は犯され続けていた。
王の巌のような腿の上に跨るように座らせられ、両脚の間に渡された呪鍛鉄の棒によって下肢を大きく開かされた、あられもない姿。
咒の刻まれた縄で足首だけでなく手首も縛り付けられて、痛々しいほどに脹れ上がった性器どころか、その後ろの、王の肉棒が激しく出入りする肛孔ですらも、居並ぶ家臣たちの視線から隠すことは出来ない。
抽送のたびに肉を打つ音と淫靡な水音に混じり、乳首を貫く環にぶら下がる鈴の錘がチリチリと音を立てる。
獣魔の製らしく無骨な金属の鈴は、充分な重みを持って揺れるたび胸を打ち、未だ塞がりきらぬ穿孔に血を滲ませる尖りを引っ張っては漣の如くに苦痛とないまぜになった快楽を伝える。
それもまた、俘虜を辱め、貶めるための仕掛けだった。
獣魔の王に捕らえられてより五日、凌辱は殆ど休む間もなく続いていた。
魔力の源たる水晶の角を折り取られ、魔封じを施された上に媚薬漬けにされた懐燕には、鬼族随一と謳われた符咒師の面影はない。
乾いた精液の汚れを何重にもこびり付かせた顔は、涼やかな美貌が嘘のように蕩けきって、口の端から涎を垂らして喘ぐばかり。
孕み女の如く下腹がそれとはっきり分かるほど膨れているのは、注ぎ込まれた精液の量が如何に大量であるかを物語っていた。
王が肉杭を打ち込むたびに、無残に開花させられた菊蕾から泡立った精液しなたりが滴り落ちた。
角は鬼にとって魔力の源であると同時、気の流れを感知する感覚器でもある。
喪うは半身をもがれるも同じ、意識が灼き切れるほどの激しい苦痛が心身を襲う。
角を折り砕かれた懐燕は、昏倒した。
懐燕が失神から回復した時には、五体に魔封じの環を嵌められ、衣服を全て剥ぎ取られた素裸で城の広間に据えられていた。
意識の無いものを犯しても面白くない、故に目を覚ますまで待ってやったと――そう嘯く王の手で、裸の尻が屹立する醜怪な巨杭の上に引き落とされた。
獣魔たちのひしめく大広間で、衆目に晒されながら姦され――蹂躙が始まった。
慣らしもせずに、巨大な質量を強引に突き込まれた蕾は裂けて、真白の膚に鮮赤あかの瓣はなびらを散らした。
皺のなくなるほど薄く伸びた粘膜は、抜き差しのたびにめくれ上がり、充血した赤を晒した。
王に四肢を抑え込まれ、深く貫かれて身動きできぬ懐燕の下腹部に、呪師は針で膚に朱を入れ、弱体化の紋様を彫りつけた。
刺青を入れる間中、剛直は萎えることなく懐燕を串刺しにしていた。
獣魔の精液は、強力な催淫効果を持つ。
当初は口枷を噛み閉め、屈辱を耐え忍んでいたものの、容赦なく流し込まれた精液が腸の粘膜を通じて体内に吸収され始めると、さしもの符咒師もやめてくれと喚おめきながら、ガクガクと腰を揺らし始めた。
更に呪わしいことに、鬼族の旺盛な再生力が傷を癒やし、腰骨が外れそうな荒々しい性交にさえ肉体を順応させていく。
内壁を傷めつけられる苦痛が和らげば、媚薬のもたらすおぞましいほどの快楽がくっきりと浮かび上がる。
膚が擦れる僅かの刺激、腿を鷲掴まれる鈍痛さえ、剥き出しの神経に電流を流されるような快感にすり替えてしまう。
体内の快楽の源を抉られるたび鋭い電撃が脳天まで駆け巡り、眼裏に暗い閃光を弾けさせた。
その頃には、臍まで生おえ返った陽根から絶え間なく白濁混じりの蜜を滴らせるようになっていた。
自裁は、口枷を外された時に一度試みて失敗した。
舌を噛み切ったくらいでは、旺盛な再生力を持つ鬼族は死ねない。
まして、弱体化の咒によって筋力を人間並みに落とされては、強靭な筋繊維を断ち切るのさえ難しい。
直後に王に口腔を犯されても、捩じ込まれた男根に牙を立てることさえ叶わなかった。
程良い刺激よと嘲笑われ、喉奥を蹂躙されて、胃が大量の精液で膨れ上がるまで注がれた。
数刻の後、懐燕が後孔を散々に犯されながら、全く弄られぬ前から精を迸らせた折には、周囲からどっと軽侮の嘲笑が湧いた。