ミシェール Michel – ヴァンパイア・ロードの寵愛する下僕

名 前:
ミシェール
年 齢:
26才(外見年齢は16~18才相当)
身 長:
167cm
瞳の色:
淡い灰青色
髪の色:
白に近いプラチナブロンド
特 徴:
女性と見まごう目を引く美貌の持ち主。全体的に色素が薄く、儚い印象を与える。
体も華奢で、骨張った痩身。筋肉はあまり発達していない。
雫型の大粒のルビーをあしらったベルベットの首輪を嵌めている。
性 格:
本来は優しく穏やかで好奇心に溢れた性格だったが、主人の影響ですっかり萎縮して無気力無感動になってしまった。
容姿の所為でひ弱に見られがちだが、根っこのところはかなり頑固で絶対に自分を曲げない強情さを持っている。
所有者:
吸血鬼の「乱鴉の大公」。黒づくめの礼装に身を包んだ美麗な壮年男性の姿をしている。
多くの臣下を抱える大貴族で、サディストとして有名。

三十才までは生きられないだろうと医師に言われるほど病弱だったが、その美貌が「乱鴉の大公」の目にとまり、吸血鬼の血を与えられてしもべとなった。
最初は純粋に丈夫な体を得たことに感謝していたが、徐々に偏執的な愛情を露わにしていった大公によって家族や友人たちと引き離され、激しい暴力と性的虐待を受けるに至り、主を怨ずるようになる。
10年以上経った今では反抗心も擦り切れ、死なせて欲しいとずっと願っているが、主のかけた呪いにより自殺もできないでいる。

ミシェールが恐れているのは他の魔物などではなく、自分の主人、「乱鴉の大公」その人です。
主が自分をいたぶる新しい方法を思いついたことを確信して怯えています。
そして、自分がどれほどそれを忌避しようと主は絶対にそれをやらせるだろうし、自分が唯々諾々と命令に従うことも知っています――淫らに調教された肉体が最後には快感とすら感じるであろうことも。
ミシェールはもはやどんな希望も持てないと悟っています。

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SS 「鮮赤の海に溺れて」

「お前に首輪をやろう」
 突然目の前にベルベットの首輪が掲げられた。
 急なことにぼんやりと目を上げるしかできなかった僕をよそに、あるじはさっさと頭から輪をくぐらせてしまった。
 うなじに回された手の冷たい感触。何世紀も前に死んだ死人の指。
 ベルベットの首輪が喉元に巻かれて締まる。決して締め付けてはいないのに、酷く息苦しい。
 貴族的な長い指が首輪の縁を滑り、飾りにあしらわれた大きな一粒ルビーの雫が喉の窪みにぴたりと収まるように調節した。
 喉元に重く垂れた石は、死人の指と同じく冷たい。
 昏い視界の隅に、やっとルビーを捉えた。
 傷口からしたたる鮮血のひとしずくのようだ。

 あるじは一歩離れて、できばえをつくづくと眺めた。
「思った通りだ。やはりお前の白い膚によく映える」
 満足げな声音。
 両手に嵌められた枷で天井からY字に吊り下げられた僕は、うなだれたまま身じろぎもできず、それを聞いていた。
 鋭利な薄刃で切り刻まれ続けた体は、まだ痛みの余韻に包まれている。
 血の痕が少なく見えるのは、流れるはしからあるじが舐め取っていった所為だ。

 おぞましいことに、僕は拷問を受けているあいだじゅう――刃に膚を裂かれ、割れた肉から血を流してはおののき、滂沱の涙を流しているあいだじゅう、快感の波に襲われていた。
 鈴口に薄い刃物の切っ先を差し込まれて、このまま尿道を裂くと脅された時には、恐怖の 発作に襲われて哀訴を口走った直後に絶頂に達していた。
 あるじによって躾けられた僕のからだは、いともたやすく苦痛を快感にすり替えてしまう。
 そして、堕落しきった僕の肉欲は、まだ充分でないというように股間で鎌首をもたげている。
 いったい、僕はどこまで堕ちていくのだろう。

 病弱だったせいで学校にもろくに行かれなかった僕が、初めて知った外の世界。
 それは、血にまみれた暗黒の世界だった。
 生きている人間にとって吸血鬼の血は、力を与えてくれる万能薬であると同時に、飲み続けなければ死に至る恐ろしい麻薬でもある。
 そのことを知ったのは、最初の禁断症状に襲われた時だった。
 僕に決してあるじからは逃れられないと思い知らせるためだけに殺されてしまった幼なじみ。
 亡骸を前にして、家族に手を出さないことを条件にあるじに絶対服従を誓った時に、僕の魂は地獄に行くと決まったのだろう。
 本当は誓わせる必要すらなかったのに、あるじはわざわざ僕の心を折って貶めるためだけにそうしたんだ。
 数年後、さも楽しそうにそれを語った時のあるじの笑顔を僕は忘れない。

 いつの間にか背後に回ったあるじが僕を抱きすくめる。
 なめらかなシルクに包まれた確かな肉体の質量を感じて、僕はおののく。
 これから起こることを僕は知っている――この拷問室で幾度となく繰り返されてきた行為。
 わななく肉を開かれ、硬い杭に下から貫かれる。串刺しにされる。
 息を詰め、死人の冷たい男根がからだを抉じ開けていく衝撃に耐えた。
 何度も何度も、数え切れないほどされているのに、どうしても慣れることができない。
 一方で僕は、すっかり熟れきって硬く尖った乳首を突き出し、欲望の塊を振り立てて、はらわたを蹂躙し尽くす兇器に焦がれていた。
 痛みと一緒に切ないほどの熱が腹腔に満ちる。
 厭で厭で堪らないのに。
 痛くてやめて欲しいのに。
 どうしてそんな気持ちがいいみたいな声を出して喘ぐんだ。

 ぐいと杭にからだを持ち上げられ、串刺しにされた僕は爪先立ちで痙攣する。
 足が床から浮く。立っていられない。
 そのまま奥深く突き上げられ――からだが上下に揺さぶられる。跳ねる。
 手首を吊していた鎖がじゃらじゃらと煩い音を立てた。
 何度も何度も杭が打ち込まれて、僕は泣き叫ぶ。

 首輪を巧みにずらして、冷たい唇が首筋に押し当てられたと感じた刹那。
 太い牙が皮膚を突き破って血管に滑り込んできた。
 血を吸い出されるなじみ深い感覚。頭の芯がしんと痺れる。
 内臓を抉られる悦びと吸血の恍惚がブレンドされて、赤い闇が視界を染めていく。快感の 花火が白く黒く弾けて眩む。
 僕は全身を突っ張らせて吼えた。
 血闇のなかでもう一人の僕がおかしくなりそう――と呟くと、別の僕がもうおかしくなってるよ――と嗤う。
 もう何も考えられない。
 僕は鮮赤の海に溺れ、杭の上でデタラメな踊りを踊り続けた。