この星は昼でも薄暗い。
 太陽は遠く、気温は低く、大気中には常に粉塵が舞う。
 屋外での長時間の活動にはゴーグルとマスクの着用が欠かせず、長期間の滞在は深刻な健康被害を生じさせる。
 惑星S-2374は、希少な鉱物を産する鉱山惑星であると同時に、矯正困難と見做された、重犯罪を犯した囚人のみが送られる流刑星でもある。
 最も刑期の短い者でも懲役15年。いずれも仮釈放は認められていない。
 労働は過酷で、囚人たちの死亡率も高かったが、産出する希少鉱物の戦略的重要性と、もたらされる莫大な富の前に、国民ぐるみでこの星系政府による囚人への人権蹂躙を容認していた。

 

 けたたましいアラーム音で、深い澱みの中からセリンの意識は目覚めた。
 全身が重苦しく不快で、汚泥の詰まった皮袋のようだ。暫くすると、鈍っていた痛覚が蘇り、痛みの蔓が体のそこかしこに伸びて、鬱血した肌や軋む関節を責め立てた。

 重い瞼を必死にこじ開け、湿気った肌に張り付くシーツを引き剥がして身を起こす。
 頭の芯はどんよりと濁っていて、殆ど休んだ気がしないが、アラームが鳴った以上、休憩時間は終わりに近い。
 思うように力の入らぬ手足で這いずって、部屋の隅の洗面ユニットに向かう。
 部屋に充満する悪臭は、もはや鼻が慣れてしまって感じないが、恐らく自分の身体も酷い臭いがするのだろう。本日2回めの労働時間が始まる前に洗浄しておきたかった。

 何とか洗面台に手をかけて立ち上がった。
 力を入れた弾みに、尻穴からとろりと生暖かい液体が溢れて腿を伝う。
 穴は熱を持ってひりつく痛みを常に伝えているが、そこが今どうなっているのか、セリンは知りたくもなかった。
 下肢が体重を支え切れず、上体が地震のようにゆらゆら揺れて、何かに縋らなければ立ち続けていられない。
 それでもようやっと、古臭いハンドルを操作して、水をコップに受けることに成功した。

 水は一滴も無駄には出来ない。
 この星では水は貴重だから、僅かな割り当て分のみとはいえ、自分の裁量で使用できるのは、セリンのような特殊労働に従事する囚人のみに許可された例外だった。
 まずは、喉の渇きを癒すために一杯。ねばつく口中の汚れを洗い流して嚥下すると、喉奥がヒリヒリと傷んだ。
 次は支給された洗浄用シリンダにコップの水を吸わせて、薬剤を溶かし、体内を洗浄しなければならない。
 震える手を、シリンダの置いてある棚に伸ばした瞬間、労働時間の始まりを告げるブザーが鳴った。

 

 猶予は与えられなかった。
 ブザーの鳴り終わりとともに部屋のロックが外され、ドアが開いて薄汚れた男たちが慌ただしく乗り込んできた。
 首に識別用のリングを嵌め、揃いの作業服に身を包んだ囚人たち。
 鉱山で長時間過酷な労働に従事する彼らは、常に性急で殺気立っていた。

「素っ裸でお出迎えとは気が利いてんな」
「時間がねえんだ。とっとと始めようぜ」
 まだ体内の洗浄が済んでいないから、と説明する間も与えられず、複数の手に掴まれてベッドに向かって引き摺られていく。
 前の回の労働でグチャグチャに汚れきったシーツの上に投げ出され、痛みに怯んだ体の上に、中でも一番屈強な髭面の囚人が伸し掛かる。

「取り敢えず一発目だ」
 作業服から慌ただしく取り出されたペニスの巨大さと、ゴツゴツと瘤を並べた異様な形状は、うつ伏せに押さえつけられたセリンには見えなかった。
 男は肉厚の大きな手で尻肉を左右に掴み広げると、晒された真っ赤に充血した穴に、自身の極太の肉杭を突き刺した。

「ひぐぅぅっ!!」
 散々酷使されて腫れ上がった粘膜に、焼きごてを当てられたような熱痛が走り、セリンの体が硬直する。
 既に今日一日だけで何十回もペニスを受け入れてきた所為か、穴は裂けはしなかったとはいえ、皺が伸びきって限界に近い。
 にも関わらず、髭面の囚人は内臓を破らんばかりに突き捲る。
 どすんどすんと肉杭が打ち込まれるたび、結合部から泡立った白濁が飛び散り、濡れた音を立てた。

「腹ン中グチャグチャじゃねえか。前の奴ら、どんだけ中に出したんだよ」
「おいおい、壊さねえでくれよ?後でこっちも楽しむんだからよぅ」
「心配すんな。前の奴らのザーメンで滑りが良くなってっから、裂けやしねえよ。これから俺がたっぷり足してやるしな」
「ひっ、ぃいっ、はっ、あぁあああ」
「大口開けてんじゃねえよ。さっさと咥えろよ」
 焦れた囚人の一人がベッドに乗り、苦痛に喘ぐセリンの口に、赤黒く筋の走った逸物を突っ込んだ。
 尻を犯す髭男のよりは小ぶりとはいえ、上向きに反り返ったそれは、喉奥に達するまで長く。ガンガンに腰を使われると、連日のイラマチオで荒れた喉に擦れて、痛みが酷い。
 男の方は、セリンが咳き込んで唾を撒き散らすのも構わず、彼の頭を掴んで離そうとしない。
「もっと気ぃ入れて吸えよ!舌使え、舌!」
 苛立たしげな怒声が飛んだ。